Loading...

KINAN CYCLING

NEWSNEWS

LINE@会員限定記事特別公開「The ROOTS Vol.2 山本大喜」

2019年シーズンにチーム公式LINEでお届けした連載「The ROOTS」。
選手の生い立ちやロードレースへの思いに迫るスペシャル企画。
本来はLINE@会員限定の有料記事ですが、2019年シーズンの熱い応援にチームとして感謝すべく、期間限定でチームWEBで公開中です。
全9回、第2回は山本大喜選手です。

記事の内容は有料記事公開時点のものとなっています。
なお、これらの記事は予告なく公開終了となることがございますので、何卒ご了承ください。
---
The ROOTS Vol.2 山本大喜
現・ロード日本王者の兄と、サイクリストとして似た系譜をたどってきた。
ジュニア時代から各年代の頂点に立ち、兄を追うようにしてKINANの一員に。
幾度となく比較されてきた兄の存在は、自らの指標とポジティブに捉える。
エリート1年目の2019年、ストロングポイントを生かし兄とは違う無二の存在へと駆け上がる。
-山本 大喜 やまもと まさき-
1996年1月8日生まれ・奈良県出身
171cm・68kg
脚質:パンチャー
主な実績:2018年アジア選手権チームタイムトライアル・アンダー23ロード2冠、2018年全日本選手権個人タイムトライアル アンダー23優勝


■兄を追い続けたサイクリスト人生

 山本大喜にとって、自転車競技との出会いは中学2年生の時。兄・元喜のインターハイ・ロードレース優勝を目にしたことだった。

 もう、そのときには兄弟、家族の枠を超え、自転車選手として常に元喜の存在が大喜の目の前にちらつくことは運命だったのだろう。兄を追うようにして始めたロードレースは、予想以上に苦しく、何度も進む道を間違えたと心底思ったという。そのたびに大喜の心を支えたのは、「兄で日本一になれるのならば、自分だってなれるはず」との確信めいた思いだった。

 何より、練習をすればするほど自らが強くなっていくことを実感できたことも大きかった。いつしか、その年代では負けることがなくなり、よりロードレースの魅力に惹き込まれていったのだった。

 やがて進むことになる鹿屋体育大学、そしてKINAN Cycling Teamと、道を選ぶ要因の1つは、やはり兄の存在。着々と力をつけていく中でも、その点だけは変わることがなかった。
■ツアー・オブ・ジャパンでロードレースの本質を知る

 2018年シーズンのKINAN Cycling Team加入は、その前年のUCIレースでの活躍が決め手となった。再三のアタックでUCIポイント獲得につなげたツアー・オブ・ジャパン、さらにはツール・ド・北海道、学生最終シーズンは海外勢を相手に輝きを放ったことが、チーム関係者の目に留まったのだった。

 思い切りのよさは、チーム加入後も続いた。シーズン序盤のアジア選手権でのアンダー23ロード、チームタイムトライアルの2冠にはじまり、タイトルを引っ提げて臨んだJプロツアー・宇都宮クリテリウムではセンセーショナルな逃げ。全日本選手権では、アンダー23個人タイムトライアルで“予定通り”のチャンピオンジャージ獲得を果たした。

 そんな大喜だが、これまでのキャリアで最も印象に残っているレースは、自らがタイトルを獲得したときでもなければ、兄弟で何かを成し遂げたことでもないという。

 昨年のツアー・オブ・ジャパン。トマ・ルバが南信州ステージを制し、翌日の富士山ステージではマルコス・ガルシアが圧勝。彼らがライバルたちから奪い取ったグリーンのジャージはつまり、KINAN Cycling Teamがリーダーチームであることを表していた。富士山では、アシストの働きをまっとうし、ガッツポーズでフィニッシュした大喜だったが、その一方でサイクリストとして未知なる領域へと進んでいることを実感していたのだった。

 各年代のトップを走ってきた彼にとって、アシストをしてもらうことがあっても、自らがアシストとしてチームに徹することはそう多くはなかった。自分を犠牲にしてでも、リーダーの座を守る。想像を絶する仕事の難しさと日々の消耗度。ロードレースが自分ひとりで勝てるものではないことを再認識できたことは、大きな発見であり、喜びでもあった。
■「人生を楽しむ」ことをテーマに

 自転車を一歩離れても、「体を動かしていないと落ち着かない」性分なのだとか。いまのブームはボルダリング。オフの日であれば7時間ほど壁を上っているというのだから、もはやサイクリストなのかロッククライマーなのか分からない(笑)

 「人生を楽しむ」ことをテーマに日々を送る。私生活では人生の伴侶を得て、競技内外でも充実した時間を過ごす。メインスポンサー「株式会社キナン」のお膝元である和歌山県新宮市に拠点を構えトレーニングに励んでいると、地元ファンからの目撃情報も多数寄せられる。奇抜なヘアースタイルも相まってか、今ではすっかり新宮の人気者だ。

 もっとも、新宮は彼にとってオンとオフの切り替えに最適な場所のよう。どこへ向かってもトレーニングにピッタリなルートがあり、海や緑を望む風光明媚なコースで鍛錬に励むことができる。走ることに集中ができ、なおかつ趣味や私生活もストレスなくエンジョイできる今の生活スタイルは、彼が思い描いていた以上に恵まれたものだという。
■山本大喜スタイルの確立へ

 兄と比較されることが多く、一時期はそれを嫌っていたというが、年代別の日本王者に輝き、ジロ・デ・イタリアを走るまでになった兄の姿を見るにつけ、周りから比較されることのありがたみを知っていった。「兄を指標に走ればよいのだ」と。

 最も身近で、何でも言い合える存在であることは変わらないが、エリート1年目となる2019年は“山本大喜”としてのスタイルを確立していくことを目指しているように見える。「2020東京五輪出場」を掲げ、平坦から山岳までオールラウンドな実力の発揮を目指す元喜に対し、ツール・ド・とちぎではスプリントにチャレンジした大喜。可能性を追求する彼の姿は、兄を追いかけ続けたこれまでの姿とはどこか異なっているようにさえ感じられる。

 サイクリスト・山本大喜がどこを目指し走るのか。それは、彼のみが知ることである。そして、その答えも大喜自らが導き出すのである。
Interview: Haruka YAMAMOTO
Photo: Kensaku SAKAI
Edit, Photos, Produced: Syunsuke FUKUMITSU

May 9, 2019
SHARE THIS:
  • FaceBook
  • Twitter
  • LINE
RELATED RIDERS: